認知症には、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性型認知症などがあります。認知症の約半数以上がアルツハイマー型認知症と言われており、原因としては、アミロイドβなどの特殊なたんぱく質が脳に溜り、神経細胞が死滅することで脳の萎縮が進行するためです。

完治ではなく遅らせる方法しかない

現在、完治させる特効薬は見つかっておらず、進行を遅らせる薬が、もっとも有効とされています。しかし、万人に効果があるとは言い切れず、副作用により、かえって暴力的な面が出現してしまう可能性があります。

薬だけに頼らず、普段の介護やかかわり方によって、認知症の進行を予防できると言われています。いくつか紹介したいと思います。

まず、同じ話や行動をくり返す、もの忘れが進行した認知症患者にとっては、毎回毎回初めて行うことと思っていますので、行動を無理やり止めたり、怒ったりしてはいけません
初めて行ったことと思っているのに、なぜ怒られているのか分からず混乱してしまうからです。大変でしょうが、無視せず毎回何かリアクションを見せてあげましょう。

こんな症状が見られます

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代表的な症状の一つに、帰宅願望があります。
これは自宅に居るにもかかわらず「そろそろ家に帰ります」と出ていこうとしてしたり、ソワソワと落ち着きが無くなってしまう行動です。

このような時も怒ったり、無理に手を引っ張りそこに居るよう強制するのではなく「ご飯を食べてから帰りましょう」など、話を上手にそらすことが、上手な介護方法と言えます。

アルツハイマー型認知症の症状の進行は早いため、ひとりでは目的地に着けなくなるなどの症状も出ます。これも本人にとっては、ショックな出来事となってしまうので、自尊心を傷つけないように、道を間違えても「今日はこっちから言ってみよう」と、付き添いの人が、誘導してあげる事も大切です。

貼り紙も手助けになる

なるべく一人で、生活をしてもらうには、貼り紙も有効です。
目につくところに貼り付けておけば、それを見ながら、行動できる場合もあり、本人への自信につながります。他に、目の前で、見本を見せることも良いでしょう。昔のことを思い出させるような質問をして、脳を働かせるようにするのが重要です。

介護は、先が見えないため、介護者が先に疲れてしまったり、ストレスが増大してしまいます。ケアマネジャーや地域の同じ境遇の人たちに相談や意見交換を行うことで、ストレスが軽減し、楽に考えられるようになりますので、一人で考え込まないように注意してください。