いわゆる「老人ホーム」と一言でいっても実は種類がいくつかあり、入居者の状態によって入れる施設とそうでない施設に分かれてしまうことをご存知でしょうか。では、認知症の人の場合はどのような老人ホームに入ることができるのでしょうか。
特別養護老人ホーム
一般に「特養(とくよう)」と呼ばれるタイプの施設で、常時介護が必要で、自宅での生活が困難という人が入居する施設です。サービスの中心は日常介護、レクリエーション、機能訓練です。
比較的リーズナブルな価格で入居することが出来、終身利用も可能なのですが、多くの自治体では待機人数が多く、重度の認知症や介護度が4または5など重い状態でないと入居できない状況にあります。
ただし、医療面では対応できる範囲が限られているため、別の病気を発症した場合は特養では生活できずに転院しなければなりません。
介護老人保健施設
重度の認知症でも受け入れ可能ですが、症状が安定した状態にあることが条件で、リハビリを中心とした医療サービスを受けることが出来ます。ただし、原則として入所期間は3カ月以内です。
在宅復帰を目的とした施設なので、入所期間の設定は短く、その後は在宅で生活するためのリハビリや治療が進められます。入院していた病院から転院してくる人も多い施設です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
グループホームは比較的軽度の認知症の人対応の施設で、小規模施設や住宅で5~9人で共同生活を送ります。
身の回りの物を持ち込めて、家族も出入りできるのでゆったりと自分のペースで生活ができやすい施設です。原則として認知症の人しか入所できませんが、軽度で自分の身の回りのことは自分でできる元気な人という条件があります。
有料老人ホーム
最後に有料老人ホームですが、これは私営のためその運営団体(企業)ごとに対応や入所条件が変わってきます。
重度の認知症でも対応できる施設もあれば、軽度でないと対応不可という所もあり、それぞれの施設が独自の入居条件を定めると同時に、施設内で行うサービスについてもそれぞれ大きな差があります。
ただし、軽度の人も重度の人も、また認知症の人もそうでない人も入ることができるのは、大きな分類の上では「有料老人ホーム」だけともいえるので、自分たちの理想とするサービスが受けられる施設を見つけやすいと言えます。
地域にもよりますが、特に都市部では比較的数が多いので、待機なく入れる確率も高くなります。