アイマスクをして杖を持って歩いたり足に重い物を巻いて歩いたりと、目が悪い人の疑似体験や歩行が困難な人の疑似体験はできますが、認知症の人の儀似体験というのは現在の科学の力ではまだまだ困難なようです。
そのせいか、認知症の人のつらさはなかなか理解しにくく、「認知症の人がいると本当に大変だよね。家族の方がまいってしまうからね」などと言われることも多々あります。
理解しづらいからこそ知りたいのですが、本屋さんへ行ってみてもなかなか良書には巡り合えないようです。
そんなお悩みを少しでも解決することに繋がるだろうと思われる本、認知症のことを少しでも理解できるであろう本を3冊紹介します。
『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』
1冊目は『認知症の人のつらい気持ちがわかる本』というタイトルです。川崎幸クリニック院長で公益社団法人認知症の人と家族の会の会長をされている杉山孝博先生の著書です。
認知症の人にアンケート調査を行い、624人から得られた回答を元に書かれた書籍です。まさに生の声をまとめてくれた、と言えるでしょう。
どうしてそんなことをするのか理解できずに腹立たしい思いをしていた人も、「ああ、そういうことだったのか」と目からウロコといった感じになり、今までと違ったアプローチで接することができて介護が楽になった、という感想がありました。
『認知症「不可解な行動」には理由がある』
2冊目は、佐藤眞一著『認知症「不可解な行動」には理由がある』です。著者は大阪大学大学院人間科学科の教授です。20の事例を元に、不安定な心の内が分ってきます。
「家族が大変」と言われますが、それは誤解で本人も苦しんでいるのだということが理解できます。
徘徊や収集癖、暴言、異食(食べ物以外の物を食べる)、妄想などは介護者を何かと困らせますが、当事者の視点でこれらを表現しています。
しかし、介護者の意識改革の必要性を強く訴えることに重点が置かれている書籍ですので、具体的な対処法に関してはあまり述べられていないようにも感じます。
介護に疲れている人が読むと、責められているように感じてつらくなってくるかもしれませんので、その点は心しておいたほうがよいでしょう。
『ボケた家族への愛しかた』
3冊目は、朝日新聞などでもおなじみの長尾和宏先生の著書です。『ボケた家族への愛しかた』というタイトルです。ほとんど漫画という感じの書籍なので、気軽に読めるでしょう。
北川なつきさんのほんわかとした絵が、介護で疲れた心を癒してくれる、漫画なので判りやすい、という声がたくさんあがっています。読んでいるうちに、自然と肩の力を抜いて向き合って行けそうな気持になる、と評判の書籍です。
1冊置いて置き、疲れた時に漫画を読む感覚で見ると良いのではないでしょうか。これらの書籍で、少しでも疑似体験に近い感覚を得てください。