認知症に効果のある薬は飲み薬です。病院でいくつかの種類の治療薬が処方されます。それらの薬が患者さんに合えば、認知症は改善します。
認知症の専用の治療薬のほかに、精神科や漢方薬も使われることがあります。
劇的な効果を期待できる治療薬もある
脳の中では神経伝達物質が働いています。この物質のおかげで人間の脳は正常に働いて、物事を記憶したり、判断したりします。
この神経伝達物質は思考にも影響を及ぼしています。認知症になるとこの神経伝達物質を分解する酵素によって、脳内の神経伝達物質が減少します。
一番最初に作られたこの病気の治療薬は、その酵素の働きを阻害する力があるのです。
この薬が合う患者さんだったら、物忘れなどの症状は良くなります。
またいらだちや妄想のような周辺症状が改善されることもあります。
ただし、このタイプの薬が効かない患者さんもいます。
その場合は、最近開発された薬を使います。飲み薬の場合は使い方がやや難しいです。
まずその患者さんに一番適したものを選ぶ必要があります。
それから、適度な量を決めるのも大切です。あまり飲み過ぎと、副作用が強くなることがあるからです。よく知られた副作用としては怒りっぽくなったり、夜眠らなくなったすることがあります。
貼り薬はお勧め
認知症の薬の中には、貼り薬もあります。この薬は最近になって発売されて、広く使われるようになりました。皮膚に張り付けることで、その成分が体内に浸透していき、この病気の症状を改善します。
この薬も脳内に存在している神経伝達物質を減少させる酵素の働きを、阻害する効果を持っています。貼り薬の場合は、飲み薬と異なって体の中に徐々に浸透していきます。
そのために強い副作用が出にくくなっています。
貼り薬にも副作用はあります。貼ったところが痒くなります。
その場合は痒いところに軟膏を塗ります。また貼る場所を変えることによって、痒みが強くならないようにします。
向精神薬や漢方薬を使う医師もいる
認知症の治療に、向精神薬や漢方薬を使う医師もいます。
向精神薬や漢方薬は物忘れを改善するわけではありません。妄想や感情の変化を改善する働きがあります。
レビー小体型認知症のように、妄想が強くなるタイプに、漢方薬や向精神薬はよく効きます。また、怒りっぽい人が飲んだ場合は、気持ちを穏やかにできます。
このタイプの漢方薬は昔から使われていました。最近認知症にも効くことが判明して、治療に使われるようになっています。漢方薬は普通の飲み薬より副作用が少ないです。