日本で65歳以上の認知症の人は2012年の厚労省の推計によると約462万人だと言われています。高齢化が進むにつれ今後も増えることは間違いなく、10年後には730万人になると推定されています。
軽度認知症ともいえる認知量予備軍も含めると、85歳以上の2.5人に1人に該当します。軽度認知症はまだ日常生活にはほとんど支障は感じない段階ですが、早く気づいて早く対処することで進行を防ぐことが可能です。
どのような前兆があるのでしょうか?軽度認知症の場合、特定分野での物忘れがひどくなったり会話の端々にあやふやな部分が多くなってきます。
軽度認知症1.
例えば、AさんBさんと一緒に3人で旅行に行った、というエピソードがある場合、お昼ご飯に何を食べたかよく思い出せないといったケースは年齢相応の物忘れだと考えられますが、話の中にAさんしか出てこないといった場合は軽度認知症の可能性が出てきます。
物忘れとの違いは、エピソードの一部を忘れているのかエピソード全体を忘れているのか、です。上記の場合は、エピソードからBさんが消えているので、このような場合はエピソード全体を忘れていると判断せざる負えません。
軽度認知症2.
また、頼んだものと違うものを買ってきたり同じものを何度も買ってくる、ということもよくあります。冷蔵庫に牛乳が4本も5本も入っている、といったケースです。
些細な事ですが、料理のレパートリーが極度に減ってきて同じものばかり作るようになってくる、といったことも小さな兆候と言えます。
その他、季節外れの服を着たり左右で違う靴下を履いていたり、行き慣れた場所への外出なのに何番線の電車に乗り換えればいいのか判らなくなったり、今まで楽しんでいた趣味をやらなくなった、などがあります。
軽度認知症3.
また、支払いの時に小銭で支払わずに何でもかんでもお札で支払う、などもよく言われます。
これは計算が極度に苦手になってきていたり、どれが100円でどれが50円か区別が難しくなってきていることが原因でしょう。
多くの家族は、これらの小さな兆候にその時は気づかずにスルーしてしまうことが多く、「今から思えば、あの頃から変だったと思う」と、口々に言われます。
前兆を見逃さないためには
いつも一緒に暮らしていたり頻繁に顔を合わせて話をしていると、却って変化に気づかないことが多いようです。また、まさかうちの親がという思いや、そうであってほしくないという思いが、無意識のうちにスルーしてしまうことに繋がっているのでしょう。
しかし、このような行動が小さな前兆だということを知っていれば、見逃してしまうこともいくらか減るのではないでしょうか。
「あれっ?なんだかおかしいな」と思ったら、かかりつけ医に相談してください。
特に、糖尿病や高血圧がある人、脳梗塞などの既往がある人、お酒を沢山飲む人は、タバコを吸う人は認知症になるリスクも高くなりますので、気をつけて見守りましょう。