認知症にはBPSDと呼ばれる症状があります。このBPSDの症状は多彩で、個人によって異なっています。認知症の中核症状は物忘れで、これはどんな人にも共通しています。BPSDは人により異なっており、徘徊が出る人もいれば、うつ状態になる人もいます。
認知症の中核症状との関係
認知症になると物忘れが始まります。最初は直近のことを覚えられないのですが、症状が進むと昔のことまで忘れるようになります。一般に周辺症状は、物忘れの前に出ることが多いです。
例えば急にふさぎ込むようになって、病院ではうつ病と診断されても、次第に物忘れが出てきて、最終的に認知症と診断されることがあります。
BPSDは末期になると、出にくくなります。これは脳の衰えが進んだためです。初期や中期は衰えていると言っても、脳の働きは完全に損なわれていません。ただ働き方がおかしくなっているので、周辺症状が出るようになります。
中核症状よりも家族にとっては辛い
BPSDは、介護をする家族を苦しめることが多いです。例えば、徘徊をするようになったら、目を離したすきに家から出て行って、行方の分からなくなることがあります。
記憶の障害もあるので、自力で家に帰ることができずに、警察に保護されることもあります。見つからない時は、家族は必死に探すことになり、心労が大きくなります。
いろいろな妄想が出ることもあります。例えば、自分の財布が盗まれたと騒ぎ出すことがあります。このような時に姑が介護していたら、その人が疑われるようになります。
本人は盗んでいないので、悲しい思いや苦しい思いをして、介護が苦痛になることが多いです。徘徊と妄想がBPSDの主な症状ですが、異食や幻覚を見るといった症状が出ることもあります。
精神科の薬が有効な場合がある
周辺症状は家族にとって大きな負担になるので、何とか改善する必要があります。認知症自体は治らないのですが、周辺症状は完治に近い状態にすることが可能です。精神科で使われている向精神薬が有効です。
それらの薬は脳に直接働きかけて、脳内の神経伝達物質の状態を改善するので、認知症の周辺症状に効果的なのです。
ただし、患者さんに合う薬を見つけるのは簡単ではありません。副作用もあるので、慎重に使う必要があります。いくつかの種類の薬を使って、その中で一番合うものを継続して使うようにします。
漢方薬の中にも効果的なものがあります。イライラを静めてくれる薬で、薬局でも購入できます。