認知症とは脳の認知機能が低下することで生活に支障が出てくる状態のことです。様々なタイプのものがありますが、いずれにしても早い段階で発見できれば、それだけとることができる治療の選択肢も増え、また進行を遅らせることも可能です。
ですから初期症状を見逃さないことが大切です。

認知症の初期症状~記憶障害

認知症の初期症状、その代表的なものとして挙げられるのが記憶障害です。
これは文字通り、記憶に関する機能低下によって出てくる症状です。

たとえばお孫さんが3人いて、年齢が違うその子たちに、それぞれ違う金額のお年玉をあげたとします。

上の子にいくらのお年玉をあげたかが思い出せないとか、最も年齢が低い子は何歳だったかが思い出せないというような、細かい情報についての記憶障害は、いわゆる加齢による物忘れです。年を重ねることで多かれ少なかれ出てくることがあるので、それほど心配する必要はないと言えます。

一方で、孫が3人いること自体、忘れてしまっているとか、お年玉をあげたことを忘れて、その分の金額が誰かに盗まれたと訴えている場合、つまり行為や物事そのものを忘れてしまっている場合、また実際の出来事と空想の区別がついていない場合などは要注意です。

認知症の初期症状~感情の変化

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そして感情の変化も、初期の段階で出やすい症状のひとつです。
これは脳は、感情の抑制、変化についても大きな役割を担っているためです。

また個人の趣味嗜好も司っているため、認知症によってそれが変化することで、表面化してくる感情が大きく変わってくると言うことが考えられます。

たとえば今まで温和だった人が急に、それも大した理由もないのに怒りっぽい傾向になったとか、今まで割と攻撃的だった人が、何をしてもおとなしく、無反応になったということが例としては挙げられます。また言動は怒りっぽい傾向になったのに、それが表情に出にくいと言う場合も気を付けて下さい。

怒りっぽいことと認知症の関係

認知症の内、前頭葉と側頭葉が委縮することで引き起こされる認知症は、特に性格の変化があらわれやすい、怒りっぽい傾向になりやすいタイプだと言われています。
これは前頭葉、側頭葉が感情の抑制や他人とのコミュニケーション、言葉の選択に対して大きな役割を果たしているためです。

そのため、この部分が委縮してしまうと、理性的な言動をとる、怒りを抑える、他者のことを考えて言葉を選ぶと言うことが難しくなってしまうため、性格が変化したような症状が出やすくなるという具合です。

また脳血管疾患を原因としたタイプの場合も、ダメージを負った脳の部分によってはやはり性格に変化が出てくる場合もあります。勿論、例外もありますが、怒りっぽくなるということが症状のひとつであることは確かなので、その点もひとつのポイントと言えます。