認知症には中核症状と周辺症状の2つがあります。この中で前者は物忘れです。
後者は徘徊や妄想などがあります。後者の方は、個人差が大きいです。
それがあまり出ない人もいます。
中核症状は記憶の障害
認知症になると、記憶の障害が起こります。
最初は目立たない障害ですが、徐々にそれがひどくなっていきます。
認知症の人は、同じことを繰り返して言うようになります。
これは典型的な中核症状です。
同じことを繰り返すのは、自分が言ったことを忘れてしまうからです。普通の人だったら、自分の言ったことは覚えているので、それを短期間のうちに繰り返して言うことはありません。記憶の障害は治療を怠っていると、ひどくなります。
初めのうちは最近のことを忘れるだけですが、次第に昔覚えたことも忘れるようになります。例えば、服の着かたが分からなくなることがあります。
記憶の障害が極端に進むと、自分の名前を忘れてしまいます。
家族のことも分かりません。
何も覚えられないので、ただベットに横たわっているだけになります。
これが起こるのは、脳の海馬と呼ばれる部分が委縮するためです。
海馬は脳の中で記憶を司っている部分です。
周辺症状は多彩
周辺症状は多彩で、個人差があります。比較的多いのは妄想です。
いろいろな妄想が出るようになります。
例えば、誰かが自分を攻撃しているという妄想が出ることがあります。
これは完全な幻覚なのですが、本人にとっては実際に起こっているように感じます。自分の持ち物が盗まれたという妄想もあります。
他の困った状態としては、徘徊があります。勝手に家から出て行って、いろいろなところをさまようようになります。記憶力が衰えているので、自分の家に帰る道順が分からなくって、迷子になります。
これは深刻な問題で、徘徊によって、行方が分からなくなることがあります。
最悪の場合は、事故死したり、病死したりします。
2つが混じりあって起こる
記憶の障害と妄想や徘徊は同時に起こることもありますし、別々に起こることもあります。認知症の初期の段階では、困った状態の方が目立つことが多いです。そのために、この病気と気づかないで他の病気に間違えられることがあります。
例えば、妄想が強く出たら、心の病気と誤診されます。
お年寄りに妄想や徘徊などが出てきたら、他の病気よりも認知症をまず疑ってみる必要があります。記憶の障害も一緒に出ていたら、認知症であることは、ほぼ間違いありません。