人間が匂いや臭いを認識できるのは嗅覚の働きのお陰です。そして最近では、嗅覚と認知症の間には深い関係があると言うことが明らかにされています。
そのため認知症の予防や症状の改善には、アロマテラピーを利用するのが効果が期待できると言われています。
認知症と嗅覚の関係
認知症は脳の機能が低下することで発症する症状です。中でも記憶力などに大きく関係している海馬と呼ばれる部分の神経細胞が死滅すると、認知機能の低下につながりやすくなると言われています。
この海馬と、人間が匂いや臭いを認識する上で重要な役割を果たしている嗅覚の嗅神経は、とても近い位置にあります。そのため認知症になると海馬のダメージが嗅神経にも伝わり、嗅覚も衰えると言うのが昔は一般的な説でした。
しかし最近では先に嗅神経の衰えが来て、そのダメージが海馬にもつながり発症や症状の進行につながるのではないかと言う説が支持されるようになってきています。ですからこのふたつの間には、とても深い関係があると言うことができます。
アロマテラピーとは
アロマテラピーとは、香りの力を利用して人間の体や心に働きかけ、健康や美容に良い影響をもたらそうとすることです。香りを利用することから、認知症の予防や改善に対しても、とても良い影響が期待できるとされています。
まず予防に関してですが、これは生活の中にアロマテラピーを取り入れることで、香りに対して敏感になることでできます。そしてそれによって嗅神経の衰えを予防することが期待できます。
また香りには、人の精神を安定させる、リラックスさせる作用もあると言われています。ストレスも認知症の発症や症状の進行に大きな関係があると言われているので、そうした面から考えてもアロマテラピーは認知症に対して良い効果が期待できると言えます。
どのように利用するのが良いのか
アロマテラピーで利用される香りは、実に様々な種類があります。それぞれ期待できる効果などが異なりますが、まずは好きな、心地よいと感じる香りを利用するのが望ましいです。
それ以外では、気持ちが高揚すると言われているレモン、集中力が増すローズマリー、高いリラックス作用があるオレンジ、安眠作用があるラベンダーなどを中心して利用すると良いです。
昼には前半の2つを、夜には後半の2つを組み合わせて利用するのが良いです。
日中の場合は常に感じられるよう、持ち物にこのアロマオイルなどを染み込ませておくのが望ましいと言われています。
夜間の場合は眠る前に感じることも重要なので、ライフスタイルに合わせて寝具などに染み込ませておくと良いです。最近では精油だけでなくスプレータイプになったものもあるので、そうしたものも利用すると、より生活の中にアロマテラピーの力を取り入れやすいです。