認知症の治療で使われているのは、改善させる薬ではなく進行を遅らせる薬です。症状を改善するための薬の研究は何十年も行われていますが、いまだに効果的な薬は登場していません。
なので、自分たちで認知症にならないように予防したり、遅らせるための知識を身につけておく必要があります。
認知症の進行を遅らせるには
認知症の症状の進行を遅らせるには、薬を使います。よく使われている薬は、使用開始から9ヶ月〜1年くらいはアルツハイマー病の進行を遅らせる効果があると言われています。
この薬は、神経伝達物質のひとつアセチルコリンの働きを強める作用を持っています。1970年代にアルツハイマー病患者の脳ではアセチルコリンが減少することが発見されました。
アセチルコリンを増やすのではなく、アセチルコリンの分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きを抑えることで、アセチルコリンの働きを保って、効果を強めて進行を遅らせます。
最近ではさらに神経伝達物質のやりとりを円滑にさせたり、神経伝達物質のひとつであるグルタミン酸の働きを抑える薬が使われています。
予防が一番重要
このように進行を遅らせる薬はありますが、症状を改善させる薬は登場していません。また、食い止められるのは一定期間だけというのも問題です。
予防について考えると、今のところ有力視されているのはDHA(ドコサヘキサエン酸)です。他にαリノレン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸もありますが、最も脳に良い脂と言われているのはDHAです。
DHAは脳の神経伝達物質を受け渡す場所に存在しており、ここに十分なDHAが供給されると潤滑油として働いて神経伝達物質の流れを良くしてくれます。
神経伝達物質が受け渡されやすくなるということは、脳機能が活発になり認知症になりにくくなるということです。
血流を改善させる効果も大切
さらにDHAなどの不飽和脂肪酸には、血流を良くしてくれるという血液サラサラ効果もあります。脳にも血液で酸素や栄養が届けられているので、血液が流れやすくなると脳に必要な栄養もたくさん供給されるようになります。
その結果、脳神経のダメージを蓄積しづらくなります。血液サラサラ効果はEPAのほうが高いですが、脳に良いのはDHAのほうです。
どちらも魚の脂に多く含まれているので、1日1切れ×週3回以上摂取するようにしましょう。他にもαリノレン酸が含まれているアマニ油もオススメです。